地方公共団体の内部統制評価報告書の公表状況調査【東京都編その3】

・その3では、北区、足立区、日野市、清瀬市を取り上げる。

Ⅰ.北区

・代表社員は北区を電車で通過したことはあると思うが、残念ながら降りたことはない。旧古川庭園、飛鳥山公園などがある。
§旧古川庭園: https://www.tokyo-park.or.jp/park/kyu-furukawa/index.html
§飛鳥山公園:https://www.city.kita.lg.jp/parks/asukayamapark/index.html

・HPのトップ上部は、水門の他、庭園や花びらなど春の自然豊かなイラストが多数掲載されていた。
§北区役所:https://www.city.kita.lg.jp/

・令和5年度の内部統制評価報告書の評価結果及び不備の是正に関する事項は以下の通りである。

3 評価結果

 上記の評価作業を実施した結果、運用上の重大な不備を把握したため、北区の内部統制は評価対象期間中において、財務事務の執行管理については、一部有効に運用されていないと判断しました。当該不備を除く内部統制は、評価基準日において有効に整備され、評価対象期間において有効に運用されていると判断しました。

4 不備の是正に関する事項

 上記 3 の運用上の重大な不備は、障害福祉課において、北区心身障害者福祉手当の認定の手続きに誤りがある事案が把握されました。当該不備については、プレスリリースで公表するとともに、区議会へ報告を行いました。また、当該不備については、再発防止策を講じており、評価基準日において是正されていることを確認するとともに、全庁への周知徹底を図ります。

 なお、付属資料に掲載されている重大な不備の内容は、以下のとおり。

(2)運用状況の評価

 不適切事案のうち、次の1件は、区民や区に与えた損害額や事案の発生から把握、対応までが長期間にわたる状況を鑑み、重大な不備にあたると判断した。

件名 北区心身障害者福祉手当の誤支給及び未支給
概要  手当月額を 15,500 円とするところ、月額 10,000 円の支給としている方が6名いることが判明した。また、受給資格の認定を誤り、受給資格の消滅手続きを行い、その後手当を未支給とした方が 10 名いることが判明した。なお、期間については、過少支給の方で最も長い期間の方で昭和 49 年 10 月分から令和4年 11 月まで、未支給の方で平成 21 年 10 月分から令和5年7月分までとなっている。
 対象者 16 名とは、既に和解し、追加支給額及び遅延損害金を含めた損害賠償金を合わせた17,055,545 円を支払った。
原因 手当の認定手続きにおいて、該当する事由を見落とし、受給資格の認定を誤った。また、受給資格更新の際、誤って資格の消滅手続きを行った。
対応策 ○ 事務処理内容の十分な確認とダブルチェックを徹底する。
○ 事後及び定期的に該当事由がある方を抽出し、適正な区分となっているか確認する。
○ 事後及び定期的に、受給資格の処理内容を確認する。

 ちなみに、当該重大な不備が発見された経緯は記載されていない。

§北区内部統制評価報告書:https://www.city.kita.lg.jp/city-information/evaluation/1018373/1011932.html

Ⅱ.足立区

・代表社員は足立区を電車で通過したことはあるが、残念ながら降りたことはない。西新井大師、舎人公園などがある。
§西新井大師: https://www.nishiaraidaishi.or.jp/
§舎人公園:https://www.tokyo-park.or.jp/park/toneri/index.html

・HPのトップ上部は、第47回足立の花火、しょうぶまつり&世界の食広場、千住宿開宿400年などのイラストショーとなっていた。
§足立区役所:https://www.city.adachi.tokyo.jp/

・令和5年度の内部統制評価報告書の評価結果及び不備の是正に関する事項は以下の通りである。

3 評価結果

 評価の結果、以下5事務(4(1)から(5))で運用上の重大な不備を把握したため、 足立区の財務に関する事務等に係る内部統制は評価対象期間において有効に運用されて いないと判断しました。

4 不備の是正に関する事項

(1)前期高齢者給付費額報告書の計上誤りについて、本業務は委託しているものですが、 区職員が委託開始当時、誤った認識のもと、マニュアル等と積算シートを作成し、事 業者に引き継いだことにより、計上誤りとなり、東京都へ返還する交付金の額が大き くなったことは、区に経済的に損害をもたらすことになりました。現在は、マニュア ルや積算シートを修正し、正しい事務処理が行われていることを区として確認してい ます。 (東京都へ3,280,000円の返還)

(2)感染症予防事業費等国庫補助金の交付申請誤りについて、国庫補助金の交付対象と なる業務の交付申請を失念し、所属のチェック機能も働いていなかったために未申請 となったことは、区に経済的に損害をもたらすことになりました。現在は、新たにチ ェックリストと補助金の算出根拠を示す資料を作成し、確実なチェックが行える体制 を構築しています。(2,936,000円の補助金不交付)

 (3)会計年度任用職員の休日給及び夜勤手当の支給誤りについて、担当課長が急用で特 別区人事担当課長会を欠席し、代理出席も無かったこと、担当課がメールによる通知文を見落としたことなどにより改正条例の解釈を誤ったことから、多くの職員の給与 支給額を減少させたことは、著しく区の信用を失墜させ、職員が経済的に不利益を被 りました。現在は、メールの見落としを防ぐために、「業務に関するメールの取扱い等 に関する全庁的な対応について(通知)」に基づいて受信メールの確認についてルール を作り、適正に処理されています。各所管へも毎年、年度当初に休日給及び夜勤手当 に関する通知を発出し、制度周知を徹底しています。 (合計21,059,558円が未支給)

(4)障がい者福祉手当の支給誤りについて、対象者に対する適切な案内を怠ったことに より、等級変更に伴う手当額の変更が行われず、支給誤りとなったことは、広く区民が不利益を被る蓋然性があり、著しく区の信用を失墜させました。現在は、障がい等 級と手当額の不一致を確認できるデータファイルを作成し、支払いの度に確認するこ ととし、不一致があった場合には、職権で変更処理を行うことにしています。 (3,223,500円が未支給)

(5)契約事務の適正な執行について、契約課契約とすべき契約について、分割して主管 課契約として契約していたことは、令和4年度の第二期、第三期の定期監査でも別の 所管で指摘を受けており、同様の指摘が繰り返されていることによって、著しく区の 信用を失墜させました。今後は、同様のミスを起こさないよう、内部統制推進部局よ り全庁あてに注意喚起する通知を発出すると同時に、スケジュール表での管理など、 各課で取り組める事例を紹介し、事務処理を徹底していきます。(3契約)
筆者注:( )内は附属資料から掲載。

§足立区内部統制評価報告書:https://www.city.adachi.tokyo.jp/somu/naibutouseihyoukahoukoku.html

Ⅲ.日野市

・代表社員は日野市を電車で通過したことはあるが、残念ながら降りたことはない。新選組のふるさと歴史館、多摩動物公園などがある。
§新選組のふるさと歴史館: https://www.city.hino.lg.jp/shinsenr/
§多摩動物公園:https://www.tokyo-zoo.net/zoo/tama/

・HPのトップ上部は、日野市の風景写真の他、小さい枠に「私の好きなこの街で働く 日野市正規職員(経験者・専門技術職)」「時刻表に縛られず好きなときに予約できる デマンド交通」などのスライドショーがあった。
§日野市役所:https://www.city.hino.lg.jp/

・令和5年度の内部統制評価報告書の評価結果及び不備の是正に関する事項は以下の通りである。

3 評価結果

 上記評価手続のとおり、ガイドラインに規定する評価作業を実施した限り、評価対象期間中における運用上の重大な不備を把握したため、日野市の財務等に関する事務に係る内部統制は評価対象期間において有効に運用されていないと判断いたしました。

4.不備の是正に関する事項

 運用上の重大な不備については、次のとおり事案毎に各部署において是正を終えています。また、全庁に周知することにより、類似事案の再発防止を全庁にわたって徹底します。

 (1) 委託業務契約に対する消費税法適用の誤認識による仕入れ税額控除の適用誤り(運用上の不備)

 市から都に業務委託している事務の消費税の取扱いについて、R5.11 月の都からの通知 (請求書)によって始めて不課税であると認識した。従来は課税扱いと認識しており、その認識の下に仕入れ税額控除を適用したうえで消費税を納税していた。不課税であることがわかったため、過去 5 年分の消費税額を再計算し、修正申告したうえで納税することとなった。 さらに、延滞税の支払いが生じた。(筆者注:金額不明)

【是正の状況】
➢ 消費税の課税判断に懸念のある案件の洗い出し作業を行う
➢ 上記案件に対し、消費税法適用についての確認を行い、結果、消費税が課税されな いものと確認された案件についてはリスト化し、確定申告決裁時に添付することとする
➢ 決算支援業務の委託契約内容を見直し、R6 年度からは確定申告の支援業務を追加し、税理士にチェックしてもらうようにする➢ そのほか、同様の状況にある他自治体と再発防止策の情報共有をし、当市において採用できるか検討していく

(2) 保険料の遡及賦課誤り(運用上の不備)

 法改正により保険料賦課についての期間が明確化されたが、納付方法(特別徴収・普通 徴収)により納期限が異なるため、改正により保険料の納付方法毎に賦課期限日を設ける必要があった。しかし、システム設定上は特別徴収に関して本来異なる普通徴収の期間設定(7 月 31 日)がされており、特別徴収被保険者において、平成 29 年度より本来賦課できない 2 年を超えた期間において賦課、還付処理を行っていた。(筆者注:影響人数78人、影響額1,448,283円。附属資料による数字)

【是正の状況】
➢ システムにおける適切な期間設定。なお、期間設定対応が終了するまでは、エクセル 等で管理し、職員の目で確認する。
➢ 制度改正における対応は、ベンダー任せとせず市側も内容確認に努める。
➢ 法改正時には、法改正内容を職員が読込み、疑義がある場合は必ず国への照会や法律相談を行うこと、また、システム改修内容については、法改正内容と齟齬がないか確認を行うよう、庁内に周知する。

(3) 都補助金の返還及び違約加算金(運用上の不備)
 国費及び都費を活用し、市が令和3~5年度にかけて実施していた民間事業者による建 設に対する助成事業において、都要綱上の条件を満たさない部分があることが判明。市が助成する要綱上では、この条件を記載していないことから民間事業者側に瑕疵はなく、市が条件を満たさない内容のうち既に受領していた令和3・4年度交付額を都に返還することとな ったもの。また、併せて違約加算金が上乗せされた。(筆者注:影響額31,428千円。付属資料による金額)

【是正の状況】
➢ 都と連携を密にすると共に、分かりやすい制度に改めるよう要望する。
➢ 制度活用時には、詳細な内容把握に努める。

§日野市内部統制制度実施状況: https://www.city.hino.lg.jp/shisei/gyozaisei/1020367/1023722.html

 Ⅳ.清瀬市

・代表社員は、残念ながら清瀬市に足を降ろしたことも通過したこともない。清瀬市には、清瀬金山緑地公園、清瀬市郷土博物館などがある。
§清瀬金山緑地公園: https://www.city.kiyose.lg.jp/bunkasportskankou/shinaimidokoro/kouen/1002730.html
§清瀬市郷土博物館:https://museum-kiyose.jp/

・HPのトップ上部は、「おうち図書館」、「映画製作協力隊大募集」や清瀬市の自然などのスライドショーになっていた。
§清瀬市役所:https://www.city.kiyose.lg.jp/

・令和5年度の内部統制評価報告書の評価結果及び不備の是正に関する事項は以下の通りである。

3 評価結果

 上記の評価手続による評価を実施した結果、清瀬市の財務報告等の信頼性 の確保(契約事務の見直し)に係る内部統制は評価基準日において有効に整 備及び評価対象期間において有効に運用されていると判断いたしました(詳 細は別紙2のとおり)。

4.不備の是正に関する事項

 記載すべき事項はありません。

 筆者注:別紙2では発生したリスクがいくつか記載されていたが、清瀬市はいずれも重大な不備ではないと判断している。

§清瀬市内部統制の推進について:
https://www.city.kiyose.lg.jp/siseijouhou/sosikisigoto/1009789.html

以下、次号。

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