地方公共団体の内部統制評価報告書の公表状況調査【埼玉県編2の1】
・今回から2回に分けて埼玉県を取り上げる。
・埼玉県には40市ある。
・各地方公共団体のHPによると内部統制評価報告書を公表している市はさいたま市、上尾市、和光市がある。その他に、朝霞市と新座市は内部統制状況運用状況報告書を公表している。
§指定都市:さいたま市(人口約135万6千人。令和7年10月1日現在。以下同様。)
§その他の市:上尾市(人口約22万8千人)、和光市(人口約8万5千人)、朝霞市(人口約14万5千人)、新座市(人口約16万6千人)。
・今後公表予定の市は以下の通り。
§その他の市:越谷市(人口約33万8千人。令和8年度から内部統制報告書を作成予定)
・その1では、さいたま市、上尾市を取り上げる。
Ⅰ.さいたま市
・令和6年度の内部統制評価報告書の評価結果は以下の通りであり、また運用上の重大な不備については、附属資料の「3 評価結果 ⑵ 業務レベルの内部統制の評価 ウ(エ)」に記載されている。
3 評価結果
(1)全庁的な内部統制の評価
全庁的な内部統制の取組及び成果を確認し、評価基準日において有効に整備され、評価対象期間において有効に運用されていると判断しました。
(2)業務レベルの内部統制の評価
業務レベルの内部統制の取組及び成果を確認し、評価対象期間中の運用上の重大な不備を2件把握したため、内部統制は評価対象期間において一部有効に運用されていないと判断しました。
以下に、運用上の重大な不備2件を記載する。
【市長部局】
| 1 土地売却に係る不適正な事務処理について | |
| 概要 | 令和5年度において、与野まちづくり事務所の課長補佐級職員が、与野駅西口土地区画整理事業地内の本市所有の土地を相手方に売却するため、行政財産の用途廃止及び処分に係る財政局との事前協議が調わないまま、契約締結に必要である局長の決裁を受けず、不正に同事務所で保管するさいたま市長の公印を使用して土地売買契約書を作成し、本市の行政財産である当該土地を売却したもの。 〈影響〉1社 償還金 85,804,160 円 賠償金 2,995,174 円 ※令和6年4月に覚知した事案 |
| 原因 | ・当該元職員は業務過多となっており、懸案を少しでも減らしたいという思いがあったが、事前協議が進まず、相手方から進捗状況等を確認され、焦りが生じていた。 ・換地調整用地の利活用・売却について課題となっていたが、局としての明確な方針がなく、まちづくり事務所と都市局幹部との間で認識に乖離があり、局のフォローアップも不十分であったことから、土地売却に係る組織的な進行管理が行われていなかった。 ・局内手続きが進められる中、法令で定める随意契約の理由を明確に示すことができない状態が長期化した。 ・当該土地売却事案を詳細に把握する者がいなかったことから、職場内における決裁を含むチェック体制が機能不全であり、適切な監督機能や内部牽制が働いていなかった。 ・公印の管理において、決裁文書を照合しなくても職員であれば誰でも公印を押印できる状態で、公印の使用・保管ルールどおりに運用されていなかった。 |
| 是正の状況 | ・本事案の原因の調査及び再発防止策の検討のため、令和6年5月23日に調査検討会議を設置し、令和6年10月18日に調査検証した事実及び組織体制、財産管理、公印の管理について17項目の再発防止策を取りまとめ、順次実施した ①区画整理事業をはじめとする都市局内業務体制を見直し、業務の複数担当制などの孤立化防止やチェック機能強化 ②都市局内の情報共有の強化を行い、本庁・事務所間の連絡体制を強化 ③都市局における土地売却に係る事務手続きフローを整理し、局内に審査会を設置し、土地売却手続きを見える化 ④決裁によるチェック体制の強化 ⑤モニタリングや「不正の早期発見」「不正の抑止」を図るため内部統制制度の周知強化といった内部統制の強化 ⑥コンプライアンス研修の実施による職場におけるコンプライアンスの推進 ⑦人材育成責任者(所属長)を対象としたマネジメント力向上研修の実施 ⑧財政局との事前相談、事前協議に係る事務手続きの見直し ⑨土地売払いの契約締結時の財政局長合議の実施 ⑩さいたま市財産評価委員会の諮問省略要件の見直し(1件 1,000 ㎡未満の土地取得と 1 件 300 ㎡未満の土地の処分の面積要件の撤廃) ⑪歳入予算科目設定時等の所管課・財政課・資産経営課の情報共有の実施 ⑫財産管理主任及び公有財産を所管する課所等の職員を対象とした財産管理に係る研修の実施 ⑬不動産公売に係るマニュアルの整備 ⑭公印管理の責任者の明確化 ⑮公印管理や押印の承認、公印押印などの公印使用時のルールの徹底 ⑯公印使用簿作成の義務付け ⑰公印保管者、公印取扱者、公印を使用するすべての職員を対象とした公印管理に関する研修の実施 ・調査検討会議で取りまとめた市の内部調査の結果及び再発防止策の客観的かつ公正な検証等を行うため、第三者委員会を設置し、令和7年4月30日から審議を実施していることから、その経過を確認し、結果等を踏まえ令和7年度内部統制評価報告書において記載する。 |
【教育委員会事務局】
| 1 外国籍女児の除籍について | |
| 概要 | 在留資格を失い、継続した就学を希望する外国籍女児について、文部科学省からの通知の誤った解釈による教示を行い、期日までに書類の提出がなされなかったため、9月6日付けで除籍としたもの。翌年1月下旬、文部科学省への確認により文部科学省からの通知の誤解釈に伴う手続き誤りであることが判明し、1月30日から復学としたもの。 〈影響〉1 人 |
| 原因 | ・国からの通知「一定の信頼が得られると判断できる書類」の解釈について、「日本にいられることがわかる公的な書類」と誤った解釈としていた。 ・近隣自治体や文部科学省に運用実態や解釈を確認しなかった。 |
| 是正の状況 | ・住民登録がない場合でも、居住実態のある外国籍の子どもについては、在留資格の有無にかかわらず居住実態がわかる書類があれば、就学可能とする運用とした。 ・複数の解釈が可能となる通知や指針に基づいて事務を実施する場合は、文部科学省に確認を行うこととした。 ・解釈が市区町村に委ねられる事務については、他都市や近隣市区町村の動向を踏まえたうえで、市の方針を決定することとした。 |
§令和6年度さいたま市役所内部統制制度について:https://www.city.saitama.lg.jp/006/006/003/index.html
Ⅱ.上尾市
・上尾市のホームページを検索したが内部統制評価報告書は見当たらなかった。なお、内部統制のページには以下の記載がある。
・市長は、各年度における内部統制の整備・運用状況を評価し、その結果をまとめた評価報告書を作成します。
作成した評価報告書は、監査委員の審査に付した上で議会に報告するとともに、市ホームページにおいて公表します。
§上尾市役所内部統制:https://www.city.ageo.lg.jp/page/015121082302.html
以下、次号。
