地方公共団体の内部統制評価報告書の公表状況調査【東京都編その2の2】

・その2の2では、港区、文京区、台東区、墨田区、杉並区を取り上げる。

Ⅰ.港区

・令和6年度の内部統制評価報告書の評価結果は以下の通りである。

3 評価結果 
 上記評価手続のとおり、評価作業を実施した結果、区の内部統制は評価基準日において有効に整備され、評価対象期間において有効に運用されていると判断しました。

付属資料において、各課の取組の自己評価、報道発表した不適正事務などについて記載している。以下に報道発表した不適正事務の項目名のみ記載する。

No. 項目
1 区立小学校における個人情報書類の紛失について
2 誤投函による個人情報の流出について
3 区立高齢者施設における個人情報の紛失について
4 誤発送による個人情報の流出について
5 返戻された郵便物の紛失について
6 誤発送による個人情報の流出について
7 保育施設における個人情報の流出について
8 国民健康保険料口座振替のお知らせの誤送付について
9 年金特別徴収業務に関する事務処理誤りについて
10 誤発送による個人情報の流出について
11 保育園保育料の算定の誤りについて
12 不適切なメール送信による個人情報の流出について
13 区立高齢者施設における介護サービス利用料の誤徴収について

§港区内部統制制度:https://www.city.minato.tokyo.jp/kuyakushokaikaku/naibutosei.html

Ⅱ.文京区

・令和6年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果及び不備の是正に関する事項には以下の記載があった。

3 評価結果

 上記評価手続のとおり、評価作業を実施した結果、運用上の重大な不備を2件把握したことから、区の財務に関する事務及び個人情報に関する事務に係る内部統制は、評価対象期間において有効に運用されていないと判断いたしました。

4 不備の是正に関する事項

 3の運用上の重大な不備及び是正状況は、次のとおりです。

(1) 企画政策部財政課において、職員が予算流用手続で本来行うべき上司への協議を怠り、自らが調達した上司の印鑑を流用申請書に押印し、決裁が完了したように偽装していたもので、 関係部署に対しても、流用の承認がなされた旨の虚偽の報告をしていました。このような不適切な事務処理が、令和6年2月から令和7年3月にかけ、合計131件の予算流用において行われており、区に対する信用を大きく失墜させたものです。また、本事案の発覚後、複数の部署において予算流用申請書の決裁のやり直しが必要となりました。 是正措置として、流用申請書の決裁を紙回議から電子回議に変更することで、事務の効率化を図るとともに、印鑑の不正使用を防止してまいります。また、適正な予算流用手続とコ ンプライアンスの遵守について、課内での周知を徹底するとともに、所属長や係長が定期的なヒヤリングを実施して職員の状況を把握し、適宜事務分担の調整を行うなど、引き続き業務体制の改善に努めてまいります。

(2)区立中学校において、生徒用タブレット端末でアクセスできるサーバ内に、在校生84名分の個人情報を含むファイルが格納され、閲覧可能な状態となっていたもので、保護者から の指摘により判明しました。教職員が当該ファイルを誤って生徒がアクセスできるサーバ内 に保存してしまったことが原因であり、個人情報の取扱いについて管理職による教職員への 指導徹底が十分になされていませんでした。 区では前年度にも同様の事案が発生しており、個人情報保護委員会による行政指導の対象 となっていたところ、再び不備が発生したことは、区に対する信用を大きく失墜させたもの です。是正措置として、全ての区立学校の校務用パソコンについて、ファイルの移動を制限する措置を講じました。併せて、教職員に対して個人情報の管理の徹底を指導するとともに、再発防止に向けた服務に関する研修等を実施してまいります。

§文京区役所内部統制制度: https://www.city.bunkyo.lg.jp/b005/p006465.html

Ⅲ.台東区

・令和6年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果及び不備の是正に関する事項には以下の記載があった。

3 評価結果

 上記評価手続のとおり、ガイドラインに規定する評価作業を実施した結果、内部統制については、評価基準日における整備上の重大な不備は無く、また評価対象期間における運用上の重大な不備も無いため、有効に機能していると判断いたしました。

4 不備の是正に関する事項

別紙「令和6年度台東区内部統制評価報告書」中、

「1(3)事務に関する事故等の概要及び再発防止策」のとおり

1(3)事務に関する事故等の概要及び再発防止策

 令和6年度に業務レベルの内部統制として取り組んだリスク188件のうち、報道発表した事務に関する事故等の概要と再発防止策は下記のとおりである。

項番 公表日 課名 事故等の概要 再発防止策
1 6月12日 財務課 区民の方に送付する納税通知書等について、正しい通知とは別に修正前の通知を一部の方に送付した。 再発防止に向けて、納税通知書等の発送に至るまでの作業体制と作業工程の見直しを図り、作業工程各段階の確実な実施、実施した工程が誤りなく完了していることの確認を徹底した。
2 6月21日 税務課

令和 6 年度の住民税の当初賦課(※)について、誤りが連続して発生した。
※地方税法等の規定に基づいた税額計算、期別税額計算や納期限の設定を行い、課税をする行為


①専従者給与(※)所得者である区民の方の一部に対し、所得を重複し
て計算し、課税額が過大となった納税通知書等を発送した。
※事業主のもとで働く家族従業員に支払われる給与
②住民税の当初賦課の際に行う、扶養情報に係る作業に漏れがあり、一部の方の住民税、国民健康保険料の算定に誤りが生じた。

再発防止に向けて、研修等を通じて職員の意識と技能の向上を図るとともに、業務フローを精査し、リスク要因を洗い出した上でマニュアルを改訂し、見直し後の手順を正確に実施した。
3 9月20日 子育て・若者支援課 区民の方に送付する子ども医療費助成の医療証について、印字漏れがあったことが判明した。 再発防止に向けて、複数人での確認の徹底、仕様書見直しによる作業内容の明確化を行った。
4 10月11日 指導課 区立小学校において、児童の学習成果を学習支援アプリケーションの掲示板にアップロードして意見交換する学習を行った。その際、当該掲示板がインターネット上で閲覧できる状態となっていた。 再発防止のため、本件の経緯や課題を全区立学校で共有するとともに、あらためて事故防止研修を実施し、学校における情報管理に対する意識の向上、徹底を行った。
5 12月26日 指導課 区立中学校 1 校において、過去に生徒の保護者より集金した修学旅行の積立金のうち、旅行会社から返金のあった残金について保護者に返還すべきところ、返還されていないことが判明した。 学校徴収金に関する口座については、会計事務のプロセスを改めて点検・評価し、事務処理に遺漏のないよう確認を徹底した。
6 (令和7年)
3月26日
高齢福祉課 介護保険法に定める地域支援事業(※)の委託に関する消費税の取り扱いについて、令和 6 年 6 月 28 日付で厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課から通知があった。
本区の地域支援事業の契約状況について確認したところ、事業開始当初から非課税ではなく課税として契約を締結していたことが判明した。
※地域支援事業とは、高齢者の介護予防及び日常生活上の支援を行う事業で、「介護予防・日常生活支援総合事業」「包括的支援事業」「任意事業」の 3 つの事業によって構成されている。
契約締結(変更)の都度、事業の位置づけや税務上の取扱いについて、根拠法令等の確認を複数の担当者で十分に行った。

 

§台東区役所内部統制: https://www.city.taito.lg.jp/kusei/kunokeikaku/naibu/index.html

Ⅳ.墨田区

・令和6年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果及び不備の是正に関する事項には以下の記載があった。

3 評価結果
 上記2の評価手続のとおり評価を実施したところ、次のとおりの評価結果となりました。
(1)全庁的な内部統制
 評価項目ごとのそれぞれにおいて適切な取組がされていたことから、整備上及び運用上の不備はなく、内部統制は有効に機能していると評価しました。
(2)業務レベルの内部統制
 財務に関する事務において、運用上の重大な不備を把握しました。ただし、不備の発生後、所管課自らが当該不備の内容を迅速に把握し、区長及び関係部署と情報共有を行ったうえで適切に対応したことで、損害は最低限に抑えられたことを確認しました。また、原因究明や再発防止策の整備が行われていることについても確認しました。このことから、財務に関する事務に係る内部統制は、不備の予防という観点からは運用に一部不十分な部分があり、今後、改善が必要ではありますが、全体としては有効に機能していると評価しました。

4 不備の是正に関する事項
 財務に関する事務における運用上の重大な不備は、児童手当を二重に支給したという事案です。当該事案については、迅速に原因の分析や再発防止に向けた改善に取り組んでいることを確認しました。
 また、重大な不備には該当しないものの、業務レベルの内部統制において発生した事務処理上の誤りについては、評価基準日(令和7年3月31日)までに適切な改善策を講じていることを確認しました。
 なお、内部統制対象事務である財務に関する事務及び個人情報を取り扱う事務ではありませんが、区民等に対する権利侵害及び区政に対する信用失墜が生じた事案を把握しました。本事案は、区内私立認可保育所の保育士が入所児童に対する性的加害の疑いで逮捕された事件です。これは、区内私立認可保育所における事案ではあるものの、保育の実施主体である区として、決してあってはならない事案であると受け止め、事案が発生した背景、原因及び課題を分析し、再発防止に向けて区が取り組むべき事項を明らかにしており、その上で、再発防止に向けた取組を進めていることを確認しました。

なお、運用上の重大な不備の詳細は、次のように記載されている。

件名 児童手当の誤支給(子育て支援課)
内容 ①概要
 児童手当は、年3回(2・6・10月)の定例の支払とは別に、転出等の理由により受給資格が消滅した場合など、その時点の確定額を月ごとに集計し、随時支払を行っている。
 この随時支払について、同一人物に二重に支給してしまう事案が発生した。
②該当者及び誤支給額
 ・該当者
 児童手当(4月随時支払分)受給者152人
 ・誤支給額
 合計4,845,000円(※支給額は対象者によって異なる。)
③対応
 事案発覚の当日の令和 6 年5月13日から該当者全員へお詫びの連絡を行い、同年5月21日付けでお詫びの通知及び納付書を発送した。
④回収状況(令和7年3月31日時点)
 ・誤支給額:4,845,000円(152件)
 ・回収済額:4,455,000円(139件)
 ・残 額: 390,000円 (13件)
原因  児童手当の4月随時支払後に、担当者が支払記録更新処理を失念したことにより、システム上で未払のままとなり、翌月分の対象者としてデータが作成されたため。
 また、システム処理は一連の流れで進める必要があることから、複数の職員が同時に作業することは難しいため、担当職員一人で処理を行っていたことも原因である。
対策 ・マニュアルの改訂を行い、当該リスクについて明確に記載した。
・システムにアラート機能を搭載することとした。

§墨田区役所内部統制: https://www.city.sumida.lg.jp/kuseijoho/naibukoueki/naibutousei/index.html

Ⅴ.杉並区

・令和7年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果及び不備の是正に関する事項には以下の記載があった。

3 評価結果
 上記の評価手続に基づき評価を実施した結果、全庁的な内部統制は、ガイドラインの評価項目に対し、規則等の関係規程が不足なく整備されていること、およびその運用が適切に行われていることから、おおむね有効に整備及び運用されていると判断しました。一方で、業務レベルの内部統制については、重大な不備は発生しなかったものの、依然として同様の事務処理誤りが繰り返し発生している状況を確認し、運用面において十分に機能していない部分が認められることから、一部有効に運用されていないものと判断しました。

4 不備の是正に関する事項 
 重大な不備に該当する不適切な財務事務の処理はありませんでしたが、定期監査等において確認された不適切な財務事務については、各部・各課において速やかに原因を分析し、リスクの識別・評価及び対応策の見直しを行いました。具体的には、既にリスクシートに位置付けられていたリスクについては、対応策の運用状況を確認するとともに、必要に応じて内容を見直しました。また、リスクシートに未記載であった事案については、全課共通リスク又は各課リスクシートへの追加を行うなど、再発防止に向けた取組を進めました。
 今後も、リスク対応策が形式的な記載にとどまることのないよう、日常の事務処理や決裁確認、履行確認等の具体的な手順に反映させ、内部統制の実効性を高めていきます。

§杉並区役所内部統制評価報告書: https://www.city.suginami.tokyo.jp/s007/5844.html

以下、次号。

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